SwitchBot プラグミニ を 200V化 魔改造する

概要

  • 例によってSwitchBotプラグミニが壊れました
  • どうせ直すなら 200V 対応改造していろいろなメトリクスを取ってみよう
  • この記事の内容は全て自己責任です。

注意事項

⚠⚠⚠ この記事の作者は、実施者の生命、財産その他に何らかの損害等が発生しても一切の責任を負いません。 ⚠⚠⚠

⚠ 自己責任にて実施してください

  • 改造はメーカーの想定しない行為です。この改造をして家が燃えても、感電してもメーカーは責任をとてくれません。改造品はPL法の対象外です。だれもあなたを守ってくれません。
  • この記事の作者は、改造を推奨しているわけではありません
  • この改造は「線間電圧 AC 200V」「対地電圧 AC 100V」 回路を操作します。結構危ないことであることを理解して下さい。
  • 動力電源(三相3線式200V)から任意の2本を取り出し、単相200Vとして利用している回路を制御する場合は 対地電圧200V に触れる回路となります。対地電圧200Vは下手すりゃ死にますので、十分ご注意ください。この場合、必ず対地電圧0Vの電線をニュートラル側に接続してください。
  • 三相3線式の電源の内1本を切断すると、欠相状態となりモーターが焼けますので、やってはいけません。

  • 本来であれば、無改造の製品にマグネットスイッチ(電磁接触器)等を接続して制御するべきです。

  • 上記の赤文字を理解できない方は絶対に真似しないでください。
  • 日本語が理解できない方、もしくは記載内容を自分の都合の良いようにしか解釈できない残念な方は絶対に真似しないでください。(こう書いても注意書きを読まないやつは読まないんだよな……)

故障の話

ちなみに、リコール対象として一部製造時期がリストアップされていますがそれ以外の製造番号でも同じような壊れ方をします。具体的に言うと、スイッチング電源の低圧側コンデンサのドライアップ(妊娠)による故障です。 詳しくは某逆接続系Youtuberの動画を見てください。

ichiken-engineering.com

対策ロット番号は少なくとも 2409 以降 のようです。

修理する

分解はコンセントプラグ面の「SwitchBot」の文字のすぐ上辺りを上手くこじると外箱を開放することができます。

該当の故障部品は 680uF/10V の電解コンデンサ ですが、秋月電子で同じようなサイズで購入が可能な電解コンデンサは 470uF/16V でした。

それに適当に交換したところ、動くようになりました。

電解コンデンサの容量ですが、色々試してみまして 220uF/16V でも問題なく動いているような振る舞いをしていましたので、470uFでも問題ないと判断しました。

本来は同一容量またはより容量が大きい物を使うべきです。

改造に必要な情報

高圧側コンデンサの耐圧

この製品の変圧回路は 半波整流+スイッチング電源 の回路構成になっています。つまり、高圧側コンデンサには、半波整流時の最大電圧がかかる形となります。

ダイオードにて整流を行った際の最大電圧は 概ね 電源電圧 * √2 で求めることができる。 100Vなら 141V, 200Vなら 282V である。 日本国における200Vの電圧は 最大で 222V と決められている。この場合は 313V である。ちなみに、単相200V回路に最大電圧が印加されることはほぼないと考えて問題ない。

最大電圧で考えた場合でも、 400V 耐圧で問題ないことが確認できる。心配ならもっと高い耐圧のものに交換しても良い。

リレーの耐圧

この製品に使われているリレーの耐圧は AC 250V である。200V を制御したとしても、壊れることはない。 ただし、製品仕様上は 125V であるため、中身が変更されている可能性がある。中身が変更されていないか、改造される前に確認してほしい。

片切製品であること

この製品は片切である。一般的に200V回路は両切が推奨されている。

  • 片切とは、電源線の一方にのみスイッチが実装されている形式
  • 両切とは、電源線の双方にスイッチが実装されている形式

理由としては、電圧が印加されている線は製品から切り離したほうが安全だからである。 日本国では 単相100V の場合、ニュートラル(N, コールド)、ライン(L, ホット) の2本で実現している。ニュートラルは大地に接続されており、周囲との電位差は 0V (理想値) である。そのため、ライン側のみ切断すれば機器の絶縁不良が発生した場合や、機器の設計によって漏れ電流が発生する場合等があっても影響がない。

しかし、単相200Vの場合はどちらの線もライン (電圧が印加されている線) である。そのため、安全上は両切りにするべきである。

片切りスイッチと両切りスイッチの違いは?

もし、両切りとして実装する場合は当製品の2次側に 制御側 200V, 対制御側 200V のリレーを用意して実装するか、制御回路から電気を横取りしてもう1回路のリレーを実装するのいずれかを行う必要がある。

しかし、ここでは色々勘案した結果、私は片切で利用している。みんなはやっちゃだめだぞ。

購入が必要なアイテム

この魔改造をするために必要なものです

  • 壊れたSwitchBot Plugmini
  • 電解コンデンサ (容量は以上になればいいです。2個以上を組み合わせてもいいです。耐圧は必ずそれより高いものを用意してください)
    • 400V 4.7uF 2個
    • 10V 680uF 1個
  • 200V 15A プラグ WF5114
  • 200V 15A コンセント WKS294
  • 電源ケーブル VCT 2.0sq 3芯
  • ケーブルグランド (購入したケーブルに合致するもの)
  • WAGOかリングスリーブ(小) (強電線 VCTを接続するために利用)
  • ケース (難燃性プラスチックを強く推奨) タカチ SY-150G
  • ケースが金属の場合、アース接続するためのネジ

魔改造

魔改造のマーチです。みんなだいすきなあの曲です。 www.nicovideo.jp

魔改造するうえで、以下の点を考慮して魔改造していきました

  1. 電解コンデンサをすべて交換する。また、その際に同等以上のスペックになるようにする
  2. 電解コンデンサは熱源となる基板の裏に実装されているレギュレータICから離す
  3. 外箱を大きくすることで、熱がこもらないようにすることで、長寿命化を図る

内容としては 200V化 と 延命改造となる。

電解コンデンサの交換

すべての電解コンデンサを ①同等以上のスペックにする ②基盤から離す の2点を満たすように改造しました。

実際にやったこととしては

  • コンデンサの脚を基盤にしっかり近づけずに 5mm 程度離しています
  • 容量 680uF を満たす 16V くらいの電解コンデンサ秋月電子千石電商とマルツパーツで見つけることができなかったため、 470uF を2段に違法建築する事によって 940uF のコンデンサを実現しています。
    • この違法建築ですが、リプル電流が分散するために、コンデンサが長持ちする可能性があります
    • 秋月電子で探してみましたが、1000uFのコンデンサを実装した場合、かなり頭でっかちになってしまいます
  • プラグとソケットは 200V 化するため、そもそもソケットもプラグも異なりそのまま利用することができません。箱を大きくするという前提では再利用できないので、この際コンデンサのサイズを考えずに実装できるようになります。

プラグ及びジャックの取り外し

本製品は100V製品である。そのため、100V用のプラグとジャックが金具として設置されている。その金具を取り外す。 大電流を流すためのランドが広く、ハンダがなかなか溶けないので高出力なハンダゴテでサクッと取り外す必要がある。

電線の接続

基盤と電線を結線する

基盤に電線を直接接続する。用意する電線類は以下の要件を目安として選定してほしい。

  • 許容電流 15A 以上、 太さ 2.0sq または 直径 1.6mm 以上
  • ケーブル部は必ずアースは接続できるように、3芯以上であること
  • 特に金属ケースと電線/ケーブル類が接触する部分は必ずケーブルグランド等で保護を行うこと
  • 金属ケースを利用する場合は、必ずアースをケースに接続すること
    • なお、無線LANが不感になる可能性がありますが、感電するよりはマシです。難燃性プラケースの利用をおすすめします。
  • この作成例では、入力側端子に 200V/15A プラグが、出力側端子に 200V/20A コンセントがそれぞれ利用されているが、良くない例である。これに間違っても 20A 負荷を接続してはいけない。

作製品

プラグ、コンセント、基盤を結線する

ケーブル色が非常にわかりにくく、とても悪い例担っている。ちゃんと緑とか使うべきであるが、手元にそんなものがなかったため、このような配色になっている。

なお、適当に結束バンドベースで固定しているが、本来は何らかの方法でしっかり固定スべきである。

  • 電源側
    • 白: アース
    • 黒/赤: 電源線
  • SwitchBot
    • 黒: 電源 (入力・基盤のシルク印刷に"L"と記載)
    • 赤: 電源 (共通・基盤のシルク印刷に"N"と記載)
    • 白: 電源 (制御側出力・リレーの出力端子に接続)
      • 出力制御が不要で、メトリクスの取得だけが目的であればシャント抵抗とリレーの間に接続すると良い
  • コンセント
    • 黒: 電源 (制御なし)
    • 白1: 電源 (制御側)
    • 白2: アース

結線

動作確認

最低限テスタ及び目視で短絡していてはいけない線が短絡していないことを確認する。

  • プラグ及びコンセントの電源線同士、電源線とアースのそれぞれが短絡していないこと
  • プラグ及びコンセントのアース端子とそれ以外が短絡していないこと
  • SwitchBotのスイッチをONにした時に、電源線同士が短絡する配線になっていない(通常、あり得ない)

問題ないことが確認できたら、200Vのコンセントに差し込み、アプリからメトリクス取得ができていることを確認する。

一般的に W(ワット) = V(電圧) * A(電流) であるが、消費電力が小さいは場合はなぜか 6割程度の値になってしまう事がある。

202.5V * 1.4A = 283.5W のはずだが、 163.6W と表示されている (57%)

200V が認識されている

205.0V * 2.7A = 553.5W のはずだが、522.0W と表示されている。95%こちらは誤差の範囲内だろう。

ある程度安定すると、一般的に W = A * V が成り立つ

あとは思う存分メトリクスの取得や電源のON/OFFを行えば良い。 低電流のときに何故かメトリクスがちゃんと取れない気がするが、多分仕様である。諦めましょう。